人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

一流になれなかった元アスリートのブログ。憧れの存在であるトップアスリートの「思考・行動パターン」を真似したくて日々奮闘中。

【谷真海】東京パラリンピック出場の道が閉ざされた、五輪招致の立役者

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※ 写真は「SUNTORY」のHPより

『Sports Graphic Number』で、”新しい地図”の連載がスタートした。稲垣吾郎さん・香取慎吾さん・草彅剛さんの3人が、東京パラリンピックを目指すアスリートと語り合って、競技の魅力を伝えていくというもの。彼らの影響力の大きさが、とても正しく使われている。

この第1回のゲストとして、パラリンピック金メダリストの土田和歌子選手が登場。先日、トライアスロンの東京パラで実施されるクラスが発表されたという話をしていた。それによると、土田選手のクラスは入ったそうだが、「該当クラスが除外されてしまった日本の有力選手もいる」

具体的な名前は出ていなかったけど、これはおそらく谷真海選手のことだろう。旧姓の「佐藤真海」だったらピンとくる方も多いかもしれない。13年9月、ブエノスアイレスで行われたIOC総会の最終プレゼンテーションでスピーチをして、東京五輪の招致に大きく貢献した、あのパラリンピアンである。

20歳のときに骨肉腫のため、右足の膝から下を切断。走り幅跳びアテネ、北京、ロンドンと3大会連続でパラリンピックに出場した。その後、「東京で金メダルをとるために」トライアスロンに転向。昨年の世界選手権でも優勝し、このままいけば「金メダル確実」と言われていたのだが・・・。

谷選手が出場する「運動機能障害PTS4」というクラスは、競技人数が少ないことなどから東京パラリンピックで実施を見送られることになった。他の競技では、障害の程度の軽いクラスに出ることを認める例もあるのだが、トライアスロンは自分のクラス以外は出場不可。つまり、戦わずして門戸が閉ざされてしまったのだ。

勝負の舞台があるというのは、スポーツ人の特権だ。
わたしにはそんなプレッシャーの中で仕事をする機会などない。
感極まる、などという経験は遠い昔のことだ。
(『泳いで帰れ』/奥田英朗


たとえば、柔道やレスリングのように体重別なら、自分の階級が実施されない場合は、体重を増やすなり減らすなりすれば、試合に出ることができる。でも、負ってしまった障害の「重い軽い」はどうすることもできない。本当に自分ではどうしようもないことなのだ。

東京五輪招致にあれだけ尽力してくれた人の「勝負の舞台」「スポーツ人の特権」を奪うというのは、あまりにも理不尽だと思う。この残酷な事実を一人でも多くの人に知ってもらいたくて、自分は今、この記事を書いている。

パラリンピックのクラス分けが難しい」のはよく分かる。障害の部位や程度は人によって違うから、どうやったって完全に公平にはならない。でも、どこかで線引きをしてルールを決めないと、スポーツとして成り立たなくなる。それは理解しているのだけど・・・。

 

世の中にはどうしようもないことがたくさんあって、そこに出口がないなら、
どうにかしようがあることに努力や時間を割いていったほうがいい。
(『走りながら考える』/為末大


谷選手は東京パラへの道が閉ざされてからも、今まで通りにトレーニングを続け、「少しでも可能性がある限り、最後まであきらめない」と、悲壮な決意を口にしている。9月12~16日には、連覇がかかる「世界パラトライアスロン選手権」に出場する予定。「どうしようもない」東京五輪はさておき、まずは「どうにかしようがある」に世界選手権に集中だ。

かつて、15歳の浅田真央さんがフィギュアスケートのグランプリファイナルで優勝したとき、「こんなに強いのに年齢制限でトリノ五輪に出られないなんておかしい」「出場させてあげたい」という声が上がった。谷選手が世界選手権で連覇を達成すれば、同じような要望が寄せられるかもしれない。もし軽いクラスと統合されれば、条件的には不利になるけど、スタートラインに立つことはできる。今後の動向を見守りたい。

 

谷真海選手から学んだこと

どうにかしようがあることに努力や時間を割くようにする。