【高木美帆】メディアへの対応力も金メダル級のスケーター

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(※ 写真は「mainichi.jp」より)

平昌五輪が始まる前、「高木美帆」というスケーターの存在はもちろん知っていた。バンクーバー五輪に史上最年少の15歳で出場した元”スーパー中学生”。4年後のソチ五輪は落選し、代わりに姉の菜那選手が出場。今回は8年越しで姉妹同時出場が叶った。2人は今回、チームパシュートや新種目のマススタートで十分にメダルを狙える位置にいるー。

そんな基本的な情報しか頭にない状態で、最初に見たのは3000メートル。高木選手は4分1秒35で5位という結果で、「メダルを狙っていたので悔しいが、出せる力は出し切れた。まだ4分を切る力はなかったということ」とコメント。このレース後のインタビューの受け答えが、凛としていてとてもカッコよかったのである!

大きな声でハキハキと、的確な言葉を選んで話す姿を見て、「これは本物だ」と思った。他競技のアスリートで言うと、イチロー選手や村田諒太選手みたいなかんじ。笑顔はすごく可愛いのに、口調はサバサバしていて男前。バンクーバーから8年の間にこんなにも成長していたのか・・・と感慨深く思い、「もっともっと話を聞いてみたい」という気持ちになった。

そんな自分の願いは、残りの3種目での大活躍と、帰国後の記者会見、テレビ出演で叶うことになる。この一週間でかなりの動画を見たけれど、本当に素敵な言葉をたくさん持っていて、ユーモアのセンスもあることが判明!

メダルを3個ぶら下げていて「首は大丈夫?」と聞かれたときは「アフターケアは必要かな」。ゴールしてすぐにフードを脱ぐのは「顔を出したいっていうか、いつまでもかぶっていたくない。本当にモジモジ君じゃないですか」。

帰国後の周囲の盛り上がりには、「以前であれば、羽生選手のファンが多いのかなと思っていたが、今は自分たちのことを見に来てくださっている方もいるんだなと感じた。勘違いでなければ」。

金メダルをとったのだから、「みんな私を見に来てくれて当然」と思ってもいいぐらいなのに、なんて謙虚なんだろう!明らかに勘違いではないし、今回でかなりファンが増えたことは間違いない。そんな高木選手の、素敵すぎる人柄や人間性が表れていたエピソードを3つ紹介したい。

① とっさに声を張り上げる対応力

女子パシュートの金メダルインタビューが、なぜか男子の決勝と丸かぶりに・・・。テレビを見ていた誰もが「なんでこんなタイミングでやるねん!」とツッコんでいたはず。韓国が出ていたこともあり、大歓声に包まれる場内。

そんな中でコメントを求められた高木選手は、背後の歓声に負けないように、視聴者に聞こえるようにといつもよりも声を張り上げて話していた。疲労困憊の中でのとっさの対応力に「あっぱれ」、このタイミングでインタビューを強行したテレビ関係者に「喝」。
 

② 姉妹ネタを華麗にスルー

大会前に話していた「2人で金メダルを取って、両親にかけてあげたい」が現実になったことで、メディアの報道はどうしても”高木姉妹”に偏向しがち。でも、パシュートの金メダルは4人で勝ちとったもの。どのインタビューでも「姉妹でというよりも、みんなだったから取れた金メダル」「チームでとれた金メダル」「このチームじゃなかったらとれなかった金メダル」というフレーズを連呼していた。

「姉妹で一緒に出たいね」と話したことはなく、パシュートで勝つためにはお互いが必要な存在だと思っている」。このベタベタしないドライな関係がまたいい!

③ 生放送で番組に間違いを指摘する勇気

帰国後、フジテレビ『直撃LIVE グッディ!』に生出演。「1000メートルのレース後に小平選手とどんな会話をしたのか?」「菜那選手の”待って!”の真相は?」「なぜフードをすぐ脱ぐのか?」「腰ひもは何のためにあるのか?」など、ファンが気になった疑問を解説してもらうという企画自体は面白くてよかったと思う。

ただ、パシュート決勝の最終周で、佐藤選手がバランスを崩して転びそうになったことを「ミス」と言われたことがどうしても納得できなかったらしく、最後に自らこう切り出した。

「ちょっと1つ言いたかったんですけど、さっき佐藤の”ミス”という表現があったと思うんですけど、あれたぶん相当足にきてたと思うんですよ。みんな本当にギリギリのところで、いつ足が止まってもおかしくないようなところで滑っているので。逆によく転ばないで耐えたなと」

「ミス」と言われてからこの最後の発言まで数分あったけど、その間、聞かれたことに答えながらもずっと頭に引っかかっていたんだと思う。聞き流すこともできたけど、仲間を大切に思う気持ちがそれを許さなかった。「違うことは違う」と生放送でハッキリ発言する勇気。このシーンを見て、自分はますます高木選手のことが好きになったし、日本のパシュートが強い理由もわかった気がする。

これらのエピソードからも分かるように、高木選手は「メディアへの対応力も金メダル級」なのだ!まだ23歳と若いのに、自分のことだけでなく、常に全体を俯瞰して見ることができる。分刻みで大忙しのテレビ出演も、「五輪の出来事を思い返して、整理っていうか、自分の中でもこういう感じだったなと思うこともあるので、結構楽しいですね」と言っていた。

日本滞在は2日のみで、すでに次戦の地・オランダへ。しばらくテレビで見る機会がないのは残念だけど、姉の菜那選手、佐藤選手、菊池選手とともに、これから先もずっと応援していきたいと思った。

高木美帆選手から学んだこと

声のトーンや話し方、話す内容にはその人の人間性が表れる。