人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【三浦皇成】生死の境を彷徨った落馬事故から1年ぶりに復帰

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三浦皇成、復帰即2勝「今日勝てるとは」感無量(8/13 日刊スポーツより)

 16年8月14日札幌での落馬負傷で休養していた三浦皇成騎手(27)が12日、札幌競馬で1年ぶりに復帰した。ほしのあき夫人と長女が見守る中、4鞍目の7Rで復帰後初V。12Rも勝ち、1日2勝を挙げた。
 三浦が手綱を取った2番人気アグネッタ(牝4、羽月)は、2番手から直線で先頭に立った。力強くステッキをたたき込むと、最後は3馬身差でゴール。骨盤骨折などの重傷を負い、計5回の手術を乗り越えての復活劇に「乗せていただいただけでもうれしいのに、今日勝てるとは。関係者と、雨の中でも駆けつけてくれたファンに心から感謝したい」と感無量の表情だ。
 札幌ダート1700メートルは落馬の舞台。同じ7Rで、4角先頭も似た状況。悪夢を自ら振り払い「落ちたときと同じような展開だな、試練だなと思いました。騎手人生の第2段階をうまく踏み出せた」と笑った。


8月26日(土)のTBS『バース・デイ』は、三浦皇成騎手の復帰特集だった。去年8月の落馬事故で、骨盤と肋骨を計10カ所以上も骨折。後続馬に踏みつけられたのが致命傷となり、骨盤が真っ二つに折れていたとのこと。一時は生死の境を彷徨い、その後3ヶ月間、ベッドの上でひたすら骨がつくのを待つ生活を強いられた。

18歳のときに、競馬界のスター・武豊騎手が持っていた「新人年間最多勝記録」を21年ぶりに塗り替え、21歳でグラビアアイドル・ほしのあきさんと結婚。公私共に注目を浴びる存在だったことから、なんとなく「チャラチャラしてそうだな」と勝手に思っていた(失礼)のだが、この番組を見て、三浦騎手に対するイメージが180℃変わった。なんていうか、競馬に対して「すごく真面目」だったのである。

今年5月、骨盤を強化するためのボルトの組み直し手術を終えた後も、麻酔で意識が朦朧とする中、カメラに向かって「無事に終わってよかった。本当に馬に乗りたいですね」。落馬から11ヶ月たって、ようやく馬に乗れることになり、恐怖心はないかと聞かれたときも「ああいう思い(落馬)をしてでも、もう一度競馬に乗りたい。やっぱり俺は騎手だな。そう思えて終わりたい」。

先日、東野圭吾さんの『危険なビーナス』を読んでいたら、主人公(男)とサブキャラクター(女)のやりとりで、

男「君の人生はどうなる?時計を止めたままにして、年老いていく気か」
女「ほんとにそれができたら、どれだけ幸せか。でも、無理ですよね。あたしがどんなに自分の時計だけを止めてたって、世界中の時計は休みなく動き続ける」


というのがあった。1年前、落馬事故が起こったのは札幌競馬場。そして、今年8月、三浦騎手が復帰レースに選んだのも札幌競馬場。地獄を味わった場所を1年ぶりに訪れて、落馬した地点を見ながら、「あそこで落ちてもがいていた時から、僕の騎手としての時間は完全に止まっている。ここでしっかり復活するのが僕の中のけじめかなと思った」

大切な人が亡くなったり、事故で大怪我を負ったり、信頼していた人に裏切られたり、すごくショックなことが起こると、人間はそのときから「時間が止まったような感覚」に陥ることがある。でも、上のセリフにもあるように、たとえ自分の時計が止まっていたとしても、世界中の時計は休みなく動き続けているのだ。三浦騎手は、時計の針を再び動かすために、心が置き去りになっている場所(札幌競馬場)へ、忘れ物を取り戻しに行ったのだろう。

8月12日の復帰戦、三浦騎手が姿を現すと、待ち構えていた大勢のファンから「皇成お帰り!」という声が。今年7月、胃がんで闘病中の広島カープ赤松真人選手が、手術後はじめて3軍の練習に合流した日、復帰を待ちわびるファンから「お帰りなさい!」「頑張りましょう!」「待ってますよ!」と声を掛けられていたけど、こういうのはアスリートにとって本当に嬉しいものだと思う。

リハビリ中、「自分の思い描いたところのジョッキーになれていない。このまま終わるわけにはいかない」と言っていた三浦騎手は、復帰後3週ですでに6勝。とっくになっている予定だったG1ジョッキーに今年こそなれるか、秋のG1戦線に注目したい。

 

三浦皇成騎手から学んだこと

時間が止まって、心が置き去りになっている場所から再スタートする。