人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【ユリア・リプニツカヤ】ソチ五輪で団体金メダルに貢献したスケーター、19歳で引退

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ソチ五輪団体金メダリスト リプニツカヤが電撃引退 拒食症が原因か(8/28 デイリースポーツより)

 フィギュアスケート女子のソチ五輪団体金メダリストのユリア・リプニツカヤ(19)=ロシア=が現役を引退することが28日、分かった。タス通信などロシアメディアが報じた。
 現地メディアは、リプツカヤの母の話として、拒食症の治療を行っていたヨーロッパから戻った後、現役引退を決断したと報じた。
 リプニツカヤは体の柔らかさを生かしたキャンドルスピンなどを武器に、シニアデビューとなった12-13年シーズンから一気に頭角を現し、13年GPファイナル、14年世界選手権では浅田真央に次ぐ銀メダルを獲得。ソチ五輪では団体戦で金メダル獲得に貢献した。15歳249日での金メダル獲得は同競技史上最年少の記録だった。昨季は怪我に苦しみ、16年11月のロシア杯を最後に競技から遠ざかっていた。

 

ソチ五輪フィギュアスケート団体金メダリストのユリア・リプニツカヤ選手(ロシア)が、19歳という若さで現役引退を決断。ここのところ試合で見ないと思ったら、拒食症を患っていたとのこと。体重が軽いほど有利な競技だから、「太ったらジャンプが跳べなくなる」という強迫観念があったのだろうか・・・。

個人的に、リプニツカヤ選手の存在を知ったのは、ソチ五輪シーズンだった。『シンドラーのリスト』の赤い衣装と、美しすぎるキャンドルスピンが今も忘れられない。当時まだ15歳。団体戦のフリーで圧巻の演技後に、リンクに投げ込まれたキャップを拾ってすぐに被ったのがたまらなく可愛くて、「この子はきっと世界女王になる」という予感がしたのだが、人生はどうなるかわからない。

最近のロシアは、次から次へと有望なスケーターが出てくるけど、みんな”短命”というか、長きに渡って活躍する選手が少ないように思う。だからこそ、同国代表として五輪に3度出場したイリーナ・スルツカヤさんや、摂食障害を克服して29歳まで現役を続けた鈴木明子さんの偉大さを改めて実感する。

リプニツカヤ選手がこういう終わり方になって改めて思うのは、「ソチで金メダルを獲っていて本当によかった」ということだ。シングルではなかったけど、”金メダリスト”として永遠に名前が残る。しかも、団体戦ショートプログラム・フリーともに1位。強いチームメイトのおかげではなく、自身も大きく貢献して勝ち取ったものだから、胸を張れる結果だ。

自分の友達で、高校1年生のときにインターハイでベスト8に入った子がいる。しかし、2年と3年ではこの成績を超えることができなかった。その後、スポーツ推薦で大学に進学したのだが、その受験基準は「個人で全国大会8位以上」。無事に合格が決まった後、その子はしみじみと語っていた。「高1のときにベスト8に入っていて本当によかった」と。

今年8月に行われた『ロンドン世界陸上』の男子200メートルで、この種目史上最年少の18歳5ヶ月で決勝進出を果たしたサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(18歳)。大会前にのんびりと練習していた彼は、練習パートナーのティアナ・バートレッタ選手(五輪で金メダルを3個獲得)に「ハキームはどうして世界陸上に行きたいの?何がしたいの?」と聞かれ、「今回は経験のために・・・」と答えた際、次のような言葉を返されたそうだ。

「は?経験なんかのためにロンドンに行くの?そんな経験、ほかでも積めるよ。私は19歳の時に世界選手権初出場で優勝したんだよ。ハキームは来年19歳だよね?経験なんて言っている時間あるの?」

世界のトップスプリンターの中で、18歳というのは若い部類に入る。だから今回はまず経験を積んで、次の19年のドーハ世界陸上、20年東京五輪が本番、という考え方も理解できる。でも、その「本番」に必ず出られるという保証はないのだ。

アスリートに怪我はつきものだし、イキのいい若手に代表の座を奪われるかもしれない。もしこれが最後の世界大会になったら、全力でチャンスを掴みにいかなかったことをきっと後悔することになるー。

人生のビッグウェーブは、そう何度もあることではない。リプニツカヤ選手が金メダリストになれたのも、自分の友達がスポーツ推薦で大学に入れたのも、「乗りかけた船にためらうことなく乗った」からだ。今、目の前にあるチャンス、二度と訪れないかもしれないチャンスは、絶対にないがしろにしてはいけないということを、リプニツカヤ選手の”早すぎる引退”から教えられた気がする。

 

ユリア・リプニツカヤ選手から学んだこと

チャンスの神様には前髪しかない。毎回全力で掴みにいくことが大事。