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人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【田中陽子】U-20女子W杯で両足フリーキックを決めた、なでしこ戦士は今

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つい先日、2017年の直木賞本屋大賞をとった、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読み終えた。ピアノコンクールが舞台になっている作品で、コンテスタント(演奏者)の一人に「栄伝亜夜(えいでん・あや)」というとても魅力的な人物がいた。

現在20歳の彼女は、かつて”天才少女”と言われ、国内外のジュニアコンクールを制覇。CDデビューもしていたが、13歳のときに母が急死し、それ以来、表舞台から姿を消してしまう。

そして今回、7年ぶりにピアノコンクールに出場することになり、その結果は・・・ネタバレになるのでここでは書くのを控えるけど、この亜夜のパートを読んでいるときに、なんとなく境遇が似ている、女子サッカー田中陽子選手のことが突然頭に浮かんできたのだ!

田中選手といえば、真っ先に思い出されるのは、6試合6得点2アシストの大活躍を見せた12年の『U-20女子ワールドカップ』だろう。中でも、グループリーグのスイス戦で、左右両足でフリーキックを決めたことは今も記憶に残る。中村俊輔選手や本田圭佑選手など、「フリーキックの名手」と呼ばれる選手はたくさんいるけど、両足で蹴れる選手というのはなかなか思い浮かばない。

自分は、この大会の準決勝のドイツ戦(残念ながら0-3で負けてしまった)を国立競技場のゴール裏で観戦していたのだけど、生き生きとプレーする田中選手を見て、「今はまだアンダー世代だけど、この選手がなでしこジャパンに入ってきたら本当に楽しみだなぁ」と胸を高鳴らせたものだった。

中高一貫教育のエリート選手育成機関である「JFAアカデミー」に一期生として入学し、卒業後はスター軍団のINAC神戸へ。同期入団の京川舞選手、仲田歩夢選手とともに”INAC三人娘”と呼ばれた。まさにキャリアは順調そのもの。しかし、15年になでしこリーグ2部のノジマステラへ、自ら志願して移籍。「いったいなぜだろう?」と疑問に思っていたところで、(自分の中の)情報が止まっていた。

今回、読書中に突然、田中選手のことを思い出したので、気になって近況を調べてみたところ、昨季、ノジマステラの2部優勝の立役者となり、今季は1部に昇格したチームの中心選手として活躍しているとのこと!やっぱり才能のある選手、心が強い選手は、どんな環境でも結果を出してくるのだ。

しかも、現在はサッカー一本ではなく、ノジマステラのフロントスタッフとして営業の仕事もしているそうだ。午前中に企業に出向いたり、試合のチケット販売に関わる業務などをこなして、午後から練習に励む。仕事をしながらプレーをするのは大変だと思うのだけど、「いろいろな人とふれあい、サポートしてくれる周りの人のためにも頑張ろうと思うようになった」

「自分の未来像が見えない」と思い悩んでいたINAC在籍時に比べると、今は人間的にも逞しくなって、見た目の美しさだけでなく、”生き様”も魅力的な選手になったように思う。ヤングなでしこ時代よりも、今のほうがずっと共感できるし、素直に応援したくなる。

現在23歳。3年後の東京五輪は中心選手として活躍が期待される。あの痺れるような両足フリーキックを、もう一度世界の舞台で見たい!

 

田中陽子選手から学んだこと

挫折を知った人間は強い。