人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【栄和人】教え子の方が出世してしまって戸惑う監督

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吉田沙保里が副学長、栄監督「何て呼べば…」困惑(11/2 日刊スポーツ)

 女子レスリングの吉田沙保里(34)が、至学館大(旧中京女大)の副学長に就任した。創立111周年の母校で11月1日午前11時1分に辞令を交付された。今後は学生へのアドバイスを中心に広報、渉外担当として、3人目の副学長として職務に当たる。現役選手、日本代表女子コーチ、そして副学長の3役を担い、20年東京五輪へ向かっていく。
 9月に栄監督を通じて谷岡学長のラブコールを受けた吉田は、母幸代さんを交えて学長と話し合った。「最初に聞いた時は『えっ』とびっくりしました。沙保里でいいのかな。私が副学長、大丈夫かなと」。少し悩んだが、この日は晴れやかな表情だった。昨年末にALSOKを退社してフリーとなったが、今後は至学館大職員という立ち位置ができた。現役選手でもあり、すでに日本代表女子コーチ兼任も決まっている。さらに副学長と役目が増えるが吉田は「1つ1つこなしていけば。何が大事か考えていきたい」と、慎重に頭を整理した。
 対照的に爆笑を誘ったのが栄監督。「教え子が私を超えていく。副学長になることで、沙保里を何と呼べばいいのか。戸惑っている。複雑な思いがあります。なぜ、私はみんなから置いていかれるんだろう」と、うれしそうにぼやく。「まあ、冗談ですが」と加えたが、本音にも思える言葉で笑いを添えた。


アテネ五輪から正式競技となった女子レスリング。これまで12年間で16個のメダルを獲得した8人のメダリスト全員が、栄和人監督の教え子である。そんな名将は現在、至学館大学健康科学部健康スポーツ学科の ”教授” なのだが、このたび吉田沙保里選手が同大学の ”副学長” に就任したことで、学内の役職では「吉田選手の部下」になってしまった。

「教え子が私を越えて副学長になるというのは、すごく複雑な思いもある。吉田沙保里選手のことを、これから何と呼んでいいのか戸惑っている」というユーモアたっぷりのコメントは ”偽りない本心” なのだろうけど、この状況を俯瞰して笑いを生み出せるのは、さすが栄監督である。

明るくて楽しい女子レスリングのメダリストたちは、リオ五輪から2ヶ月たってもメディアからのオファーが絶えない。たまに栄監督もセットで登場することがあるのだが、バラエティ適性が高く、どの番組を見ても「そこにいるだけで面白い」というかんじで、実にいい味を出しているのだ!

今、お笑いコンビ・トレンディエンジェルの二人が、共通の特徴である「ハゲ」を前面に出した ”ポジティブな自虐ネタ” で大人気だけど、栄監督の鉄板ギャグは、「みんな怪我のないように頑張れよ!俺は毛がないけど」。ある番組で披露し、そこそこウケたのだが、「皆さんは初めてだから笑えるけど、私たちはもう何百回も聞かされているので」とうんざりしている選手たち。こういう軽妙なやりとりが見たくて、レスリングの選手がゲストで出る番組は(個人的に)必ずチェックするようにしている。

長年の揺るぎない信頼関係は、「副学長-教授」になってもきっと変わらないだろう。自分の方が立場が上になったからと言って、吉田選手がいきなり「ちょっと栄くん、◯◯をしてくれたまえ」などと命令したりするはずがない。

「女子レスリングといえば、至学館というイメージを作り上げたのは、ひとえに栄監督の ”卓越した指導力” と ”慕われる人柄” があってこそ。4年後の東京五輪でも、川井梨紗子選手に豪快に投げられたり、土性沙羅選手の後ろで喜びのあまり踊り出す、といったリオでの”名シーン”の再現が見たいものだ。そして、吉田選手は「副学長でも金」を目指すのだろうか。

 

栄和人監督から学んだこと

物は言いよう。理不尽な状況も、俯瞰すると笑いを生み出せる。