人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【吉田沙保里、井上康生】名選手から名監督へ

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8月28日に放送された吉田沙保里選手の『情熱大陸』、本当に神回だった!五輪前の大事な時期に200日も密着されても、嫌な顔一つしない。優しくて、気配りができて、「すごい人ほど、親しみやすさを兼ね備えているんだなぁ」と改めて実感。帰国後のインタビューのコメントがとっても素敵だったので、忘れないように書き記しておく。
 

■ 「新鮮でしょ?いつも”金”を見てるから。(銀メダル)けっこう好きっすけどね」

■ 「金メダル獲った人を見ていると、”やっぱり金はいいな”って思いますけど、その後ろには銀とか銅とかそれ以外の入賞者とかがいて、その人たちのことを勝ったときはあまり考えたことがなかったので。戦える人がいるから順位もつくし、競い合える。負けた人の気持ちが本当によく分かった大会。良いオリンピックでしたね。出てよかったです

■ 「今回、私、銀メダルで、あの子たち(後輩たち)が金メダルだから、あの子たちの方がすごい感じがして、すみませんみたいな感じになっちゃう」

■ 「今後は、まあ今すぐには決められないですけど、指導の道も考えたりし始めてるし、そう考えてるってことはやっぱりこれで一区切りなのかなって」 

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リオ五輪で、金2、銀1、銅4と全階級でメダルを獲得した男子柔道。井上康生監督の存在なくしては、この快挙は成し遂げられなかっただろう。
 

井上康生監督 男泣き 全階級メダルに感慨「選手を信じるだけだった」(8/13 スポーツニッポン

 100キロ超級で原沢久喜(24=日本中央競馬会)が銀メダルを獲得し、男子は全階級でメダルを獲得。男子代表の井上康生監督(38)は「この7人は歴史に大きく名を刻んでくれた」と選手を称えた。 前回ロンドン大会で金メダル「0」に終わった男子柔道の再建を託されての監督就任。練習量に頼っていたやり方をあらため選手の肉体改造に着手したほか、海外の民族格闘技を学ぶなど数々の改革を進めてきた。
 その思いに応えた選手との4年間について質問が及ぶと、思わず号泣。「選手を信じることだと思います」と声詰まらせると、もう一度「選手を信じること。それだけだったと思います」。そう答えた後は言葉にならなかった。
 

 
史上初の「金メダルなし」に終わったロンドン五輪後に、篠原信一さんの後を受けて歴代最年少の34歳で就任した井上監督は、選手を信頼し、自主性に任せた指導で、見事に「柔道ニッポン」を立て直した。

篠原さんは篠原さんなりに頑張っていたと思うのだけど、指導法(=根性論)が今の時代とはマッチしていなかったのかもしれない。現在はバラエティタレントとして才能を開花されているので(「前の監督は何をしてたんや!」とさっそく自虐ネタを飛ばしている)、適材適所というか、人には「向き不向き」があるということだろう。

「名選手、名監督にあらず」という言葉があるけど、これはずっとエリートとして勝ち続けてきた人は、そうではない人の気持ちを「想像する」ことはできても、本当の意味では「理解できない」からだと思う。世の中には、当事者にならないとわからないことがたくさんある。

レスリングも柔道も、「勝者」は常に一人だけ。それ以外の選手は、必ずどこかで負けて悔しい思いをする。吉田選手と井上監督は、オリンピックで金メダリストになったが、「敗者」にもなった。その両方を経験できたことは、指導者になったときに”大きな財産”になるような気がする。

今回の『情熱大陸』の最後のナレーションは、「人生負けることもある。真価が問われるのは、そのあとの振る舞いだ」

吉田選手は、金メダルを獲った川井梨紗子選手と一緒にテレビ出演した際、「いつまでもくよくよしてたら後輩が喜べない」と笑顔を見せていた。井上監督は、選手団の主将を務めていたアテネ五輪でメダルを逃した後、予定を変更して最後まで現地に残って、他の競技の応援に行っていた。

このような”一流の振る舞い”を見聞きしてきた後輩たちが、試合後のインタビューで声を揃えて「沙保里さんのおかげ」「井上先生のために」と言っていた。名選手から名監督へ。井上監督はもうすでになっているけど、吉田選手も間違いなく後を追うことになりそうだ。

 

吉田沙保里選手&井上康生監督から学んだこと

「負けたことがある」というのが、いつか大きな財産になる。