人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【猫ひろし】賛否両論のオリンピアン誕生

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カンボジア国籍のタレント、猫ひろし(本名=滝崎邦明)さんが、リオデジャネイロ五輪男子マラソンのカンボジア代表に選ばれた。素直に「おめでとうございます」と言いたいところだが、巷では賛否両論の声があがっているようだ。おそらく、猫さんのこれまでの努力に対してが「賛」、カンボジアに与えられた”特別枠”を奪うことに対してが「否」なのだと思う。

まずは「賛」の部分について。『ランニングマガジン・クリール』の「猫ひろしのオリンピックへの道」という連載に、毎月のトレーニングメニューが公開されているのだけど、凄まじい練習量をこなしていることがわかる。毎日のように20~30キロ走っていて、月間走行距離もゆうに500キロ超え。本人いわく、「練習に筋トレ、ストレッチなどを加えると、トレーニングに一日4~5時間をかけている」そうだ。

猫さんは、11年にカンボジア国籍を取得。12年ロンドン五輪代表に選出されたが、参加資格を満たしていないと判断されて出場できなかった。このとき猫さんは34歳。それから4年間、38歳でのリオ五輪出場を目指して、上記のような猛練習をずっと続けてきたのだ。「2012年のアウトから4年間ずっと1位でいるのは大変でした。食事制限とか日々のトレーニングの積み重ねでした」。周囲からの批判もある中、強い意志と信念を貫いて、夢を叶えたのは本当に立派だと思う。

続いては「否」の部分について。猫さんの自己ベスト(2時間27分48秒)は、リオ五輪男子マラソンの参加標準記録(2時間19分)に届いていないため、カンボジアに与えられた「特別枠」での出場となる。

「特別枠」は本来、「発展途上国のスポーツ発展の手助け」という意味合いがある。シドニー五輪競泳男子100m自由形に出場した、エリック・ムサンバニ選手(赤道ギニア)を覚えているだろうか。彼はほとんど水泳経験がなく、100mを泳いだのも五輪が初めてだったのだが、決して美しいとは言えないフォームで、最後まで諦めずに一生懸命泳ぎ切った。(久しぶりにYoutubeで映像を見たのだけど、17000人の観客がスタンディングオベーションだった!)

こういう選手の頑張りは、トップスイマーの決勝とはまた違った感動があるし、本人にとっても何ものにも代え難い経験ができる。その貴重な「特別枠」を、カンボジアで育ったわけでもない日本の芸人が、(金にモノを言わせて)横取りしたから批判されているのである。

フィギュアスケートペアのロシア代表として、バンクーバー五輪で4位入賞を果たした川口悠子選手も、猫さんと同様に国籍を変更してオリンピアンになった。でも、特別枠を行使したわけでもないし、何よりもスケート大国・ロシアでの代表争いを勝ち抜けるほどの実力があったので、それほど批判されることはなかった。猫さんは日本よりもレベルが低くて、弱い立場にあるカンボジアをターゲットにしたことで、印象が悪くなってしまった感が否めない。

「夢を叶えた人は、夢を諦めなかった人」

8月21日、猫さんはリオ五輪男子マラソンのスタートラインに立つ。「赤坂ミニマラソン」ではないのだから「ニャー!」は勘弁だ。オリンピックを目指して頑張っていたカンボジアの他のアスリートのためにも、真面目に走ってもらいたいと思う。

そして、以前にこのブログでとりあげたエリウド・キプチョゲ選手が、ケニア代表に選ばれた。こちらは金メダルの大本命である。いったいどのぐらいのタイムで走るのか、そして今度はシューズから中敷きがはみ出ないか、要注目である。

 

猫さんから学んだこと

夢を叶えるためには、強い意志を信念を貫くことが必要。
(周囲に批判されてもずっと続けていることはあるか?それを4年間続けられるか?)