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人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【吉田香織】世界一逃げ足の速い女

陸上

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5月8日に、脊髄損傷の研究をサポートするためのランニング・イベントWings for Life World Run』が開催された。通常のマラソン大会は「ゴールに向かって走る」のだが、この大会は ”キャッチャーカー” と呼ばれる追跡車両に追い抜かれた時点でレース終了となる。つまり、「ゴールが後ろから追いかけてくる」のだ。

世界33ヵ国、34ヶ所で同時にスタートし、今年は約13万人のランナーが参加した「世界最大級の鬼ごっこ」の女子の部で、世界で一番最後までキャッチャーカーに捕まらなかったのが、日本の吉田香織選手(ランナーズパルス)である。

昨年11月、さいたま国際マラソンで日本人トップの2位となった吉田選手は、従来の世界記録を上回る65.7キロを走破。まさに世界一逃げ足の速い女」となった。フルマラソン以上の距離を走ったのは初めてだったそうだが、さすがはトップアスリート。見事な健脚である。

日本会場(滋賀県高島市)は20時スタートだったため、ゴール後は眩いほどのライトを浴びた吉田選手だが、数年前までは先の見えない真っ暗なトンネルの中にいた。2012年のホノルルマラソンでドーピング違反が発覚し、13年1月から2年間の資格停止処分を受けたのだ。32歳から2年間もレースに出られないというのは、まさに「選手生命の危機」と言っていい。

きついトレーニングを頑張ることができるのは、「試合でいい結果を出したい」という思いがあるからだ。逆に言うと、目標が何もない状態でモチベーションを保つことは難しい。あの野口みずきさんですら、引退してからは一切走らなくなったそうだ。だから、吉田選手はよく2年間も走ることに対する意欲を失わなかったと思う。その「魂の強さ」に、市民ランナーの端くれである自分はたまらなく惹かれるのである。

そんなわけで、吉田選手と直接面識はないのだけど、一方的にファンで、Facebookで友達になってもらっている。友達限定の記事が読めるだけでも十分嬉しいのに、なんと自分が書いた記事(どこどこの大会を完走したとか、記録がどうだったとか)に「いいね!」をしてくれることがあるのだ!

これは主語を「高橋尚子」に置き換えてみると、どれだけ凄いことかよくわかる。Qちゃんから「いいね!」をもらうなんて考えられないことだ。でも吉田選手はそれをしてくれる。エリートランナーなのに、目線は市民ランナーと同じ。だから走っている姿をテレビで見ると、温かい親しみのようなものが湧いてくる。こういう選手はなかなかいない。

ちなみに吉田選手は、65.7キロを走ったこの大会の一週間後、「赤城山トレイルランニングレース」という大会に出場して、コースレコードで優勝している。去年もたしか、「北海道マラソン」を走った数日後に富士山に登頂していた。トップアスリートの底知れぬ体力には、ただただ感嘆するばかり。全然疲れないのか、それとも疲れていても平気なのか、いったいどうなっているんだろう・・・。

リオ五輪で4連覇を目指す、レスリングの吉田「さ」おり(沙保里)選手ももちろん凄いのだけど、吉田「か」おり(香織)選手もかなり凄い。なんてったって「世界一逃げ足の速い女」なのだ。ランナー以外の方にも、ぜひこの機会に名前を覚えてもらいたいと思う。

 

吉田選手から学んだこと

実力は高く、目線は低く。