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人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【古賀淳也】人生には思わぬ副産物がある

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2009年、ローマ世界選手権男子100m背泳ぎ金メダリスト、古賀淳也選手。”世界一の栄冠”を手にしてから7年、これまで一度もオリンピックに出たことがなかった悲運のスイマーが、ついにリオ五輪代表の座を掴んだ。それも本職の背泳ぎではなく、なんと自由形で!

競泳のオリンピック代表になるためには、日本選手権の決勝で派遣標準記録を突破し、2位以内に入らなければならない。一発勝負で、見ている人にとってはすごくわかりやすいのだが、選手にとってはかなり厳しい選考基準である。

背泳ぎが専門種目の古賀選手は、ロンドンの選考会では100分の5秒差、そして今回も100分の8秒差で派遣標準を切ることができず、「(オリンピックには)縁がないのかな」と落胆していた。しかしその2日後に、専門外の100m自由形で4位に入り、リレーメンバーとして五輪切符を獲得することになるのだから、人生はわからない。 

個人的に、<古賀淳也=背泳ぎの選手>だと思い込んでいたので、そもそも自由形にエントリーしていることも知らなかった。100m自由形の決勝も生中継を見ていたのだけど、自分としたことがメンバー紹介のときに席を外していたため、大外の1コースで後半グングン追い上げてきたのが古賀選手だということに、最後まで気が付かなかった。だから上位4名の合計タイムが派遣標準を切り、発表されたリオ五輪400mリレーメンバーの中に「古賀淳也」という名前があってビックリしたのである。

レース後、4人のインタビューがあった。1位から4位の順番だったので、古賀選手の登場は4番目。 でも、会場からの祝福の拍手や声援は一番大きかったように思う。「背泳ぎに懸けていたのでちょっと複雑」と苦笑いしながらも嬉しそうな古賀選手。長い間そっぽを向いていた水泳の神様が、「待たせたな」と言わんばかりに、ようやく微笑んでくれたのだ!

 

人生は副産物しか実らない。「収穫を得よう」 と必死で自分の畑を耕しても不作に終わり、暇つぶしで植えてみた 「副産物」 だけが実るということがよく起こる。無駄なことをたくさんして、無駄足をさんざん踏んで、それでひとつ副産物が実ったらめっけもの。自分の人生の先なんて、誰も予測がつかない。だからこそ、生きる楽しさがある。(『勝ち負けから降りる生き方』二神能基・著)
 

 

古賀選手は体力を向上させるために、本職の背泳ぎ以外に自由形も練習メニューに取り入れていたという。今回は、思わぬところで「副産物」が実った形だ。解説者の寺川綾さんも「まさか専門外の選手が入ってくるとは」と驚いていたが、改めて人生とは予測がつかないものだなぁと思う。

イケメンスイマーが、顔の見える背泳ぎで出られないのは残念だ。でも体を180度回転させて、これから自由形の練習に専念したら、大化けする可能性もある。五輪の自由形で4個の金メダルを獲得したアレクサンドル・ポポフ選手(ロシア)も、元々は背泳ぎの選手だった。リレーは引き継ぎがあるので、何が起こるかわからない。夢じゃないあれもこれも。本番では、28歳のウルトラソウルを見せてほしい!