人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【イチロー、稲葉篤紀】微笑ましい友人関係

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メジャー16年目のシーズンを迎えた、マイアミ・マーリンズイチロー選手。メジャー通算3000本安打まであと65本と迫っていて、今季中の達成が期待されている。

そんなイチロー選手のキャンプ地を、テレビ朝日系『報道ステーション』で野球解説者を務めている稲葉篤紀さんが訪問。そこで行った単独インタビューが、3月15日と16日に2夜連続で放送されたのだが、これが抜群に面白かったのだ!

愛知県出身の二人は、少年時代から同じバッティングセンターに通っていて、お互いの存在を知っていた。稲葉さんが中京(現・中京大中京)高校3年、イチロー選手が愛工大名電高校2年の夏には、愛知県大会の決勝戦で激突したこともある(このときは名電が5-4で勝った)。

イチロー選手は公式な会見以外、個別のテレビ取材はほとんど受けないのだが、今回は親交が深い稲葉さんとの対談ということで、終始リラックスしていて、いつになく饒舌で、めったに見せない”素の部分”が出ていたように思う。

 

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野球のことも野球以外のことも、示唆に富んだ話ばかりだったのだけど、その中でも「絶対に”深イイ”の方に心のレバーを倒す」と思った、”深くてイイ話”が2つあった。まず1つ目は、「同じことをずっとやり続けることで見えるものがある」ということだ。

 

続けてみることって、すごく大事なことだと思います。僕、同じことずっとできるんですよ(※オフに日本にいた4ヶ月間、車の中と部屋の中で好きなアーティストの1曲をずっとリピートして聞いていた)。すごく単純な作業ですけど、そこは合理的な考え方を持っている人って省きがち。だから見えないものっていっぱいあると思う。でも狭い世界でもずっと見てたら、いろんなことが見えてくる。それははっきり言える。

 

個人的にマラソンが趣味で、いつも走っている近所の公園に桜の木がある。これを書いている現在、桜が満開になっているのだが、毎日その木の前を通っていると、「3分咲き→5分咲き→7分咲き→満開(今ココ)→散り始める→葉桜へ」という一連の過程がよくわかる。でも、”満開になった桜”を見るためだけにピンポイントで訪れる花見客(=合理的な人)は、そういった”季節の移ろい”を実感することはできないのだ。

「毎日同じことばかりしている(同じ場所ばかり走っている)」だとマイナスなイメージになってしまうので、これからはイチローイズムを取り入れて、「だからこそ見えるものがある」とプラスに捉えようと思う。

 

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そして2つ目は、 「遠回りすることが大事」ということだ。「今は知識がありすぎて、頭でっかちになる傾向がある。でもその反面、最短でいける可能性もあるのでは?」という稲葉さんの質問に対する、イチロー選手のコメントが実に秀逸だった。

 

失敗をしないで、全くミスなしで、間違いなしで、そこに辿り着いたとしても、深みは出ない。単純に野球選手としての作品がいいものになる可能性は、僕はないと思う。あったとしても、やっぱり遠回りすることってすごい大事。「無駄なことって結局無駄じゃない」っていう考え方がすごい大好き。今やってることは無駄だって思ってやってるわけじゃない。無駄に飛びついてるわけじゃない。でも、あとから思うとすごい無駄だったと思うことはすごく大事。だから合理的な考え方ってすごく嫌い。「遠回りすることが一番近道」だと信じて、今もやっている。

 

マラソンをしていて、足の具合が悪くなったときに訪れている”駆け込み寺”のような整骨院が一つある。すごく腕の良い先生で、今までに何度助けてもらったかわからない。この整骨院との出会いは、実は「3度目の正直(=3軒目)」だったのだ。

1軒目の先生は「痛みが治まるまでは一切走るな」という考え方。痛くても走りたいから行っているわけで、ここはちょっと合わないと思い、通うのをやめた。2軒目は「治したければ毎日リハビリにくるように」という考え方。受診するたびに、短時間の電気治療とマッサージの繰り返し。担当の先生もコロコロ変わるので、何度も症状を説明しなければならず、嫌になって通うのをやめた。そんな紆余曲折を経て、3軒目でようやく心から信頼できる、今の整骨院に辿り着いたのである!

結果的に、1軒目と2軒目は時間もお金も無駄になってしまった。最初から3軒目に出会えていたら、最短コース&合理的でよかったのだけど、現実はそううまくはいかない。人生は「量をこなしてナンボ、遠回りしてナンボ」なのだと思う。そんなことがあったので、上記のイチロー選手のコメントは心底共感することができた。

報ステ』のインタビューは、2夜合計で20分強の放送だったのだが、実際には1時間18分も撮っていたそうだ。イチロー選手がこんなにも長尺のインタビューに応じてくれるなんて、稲葉さんにはただただ感謝である。テレビ朝日さんがノーカット版をDVDで発売してくれたら、絶対買うのになぁ!

 

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