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人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【半沢直樹、田中智美】やられたらやり返す、倍返しだ!

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2013年にTBSで放送された人気ドラマ『半沢直樹』。堺雅人さん演じる主人公の半沢直樹が、理不尽な仕打ちをする上司に対して、恐れることなく堂々と立ち向かい、最終的には完膚なきまでに論破する。社会人なら誰もが思うことを半沢が代弁してくれているようで、見ていて本当にスカッとする、気持ちのいいドラマだった。

やられたら倍にしてやり返す。結果を恐れて何もしないという選択肢は、半沢の中には存在しない。(『オレたち花のバブル組』 池井戸潤


半沢の決め台詞は、「やられたらやり返す、倍返しだ!」基本は倍返しなのだが、ときには「10倍返しだ!」と浅野支店長(石丸幹二)に言い放ったり、「100倍返しだ!」と大和田常務(香川照之)に土下座をさせたこともあった。しかし、これはあくまでもドラマの中の話である。現実にはこんな展開はありえないかと思いきや、先日、まさに倍返しに近いことを成し遂げたランナーがいた。リオ五輪女子マラソン日本代表に選出された、田中智美選手(第一生命)である。

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田中選手のことを語る上で、昨年の世界陸上の代表選考は避けて通ることができない。2014年11月の横浜国際女子マラソンでケニア選手とのデッドヒートを制し、2時間26分57秒で優勝。北京世界選手権には「自分でも行けるだろうと思っていた」。しかし、発表された日本代表3人の中に、田中選手の名前はなかった。

 

たとえどんな理由で組織に振り回されようと、人生は一度しかない。ふてくされているだけ、時間の無駄だ。前を見よう。歩き出せ。どこかに解決策はあるはずだ。それを信じて進め。それが、人生だ。(『オレたち花のバブル組』 池井戸潤

 

優勝したのに選ばれない。不可解な選考に、周囲は黙ってはいなかった。第一生命の山下佐知子監督は「受け入れられない」と抗議し、増田明美さんは「これでいいのでしょうか」と陸連の理事に食い下がり、関係者からは多くの励ましの言葉が届いた。当初はショックを受けていた田中選手も、腐っていても仕方がない。誰もが認める力をつけなければ」と気持ちを切り替え、猛練習で走力を底上げ。そして迎えた名古屋ウィメンズマラソンで、日本人トップの2位でゴール。1年前の鬱憤を晴らし、見事リオ行きの切符を掴んだのである!

夢を見続けるってのは、実はとてつもなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる。(『オレたちバブル入行組』 池井戸潤


個人的に、テレビで生中継を見ていて一番感動したのは40キロ地点。第一生命の先輩・尾崎好美さんが、200メートルほど沿道で並走(というか爆走)していたのだ!「トモ、そのままでいい。大丈夫大丈夫。絶対いける!いける!いける!」。田中選手はかつて、尾崎さんの練習パートナーを務めていて、ロンドン五輪にも自腹で30万円を払って応援に行ったそうだ。一番苦しい場面で、憧れの先輩からの力強い言葉。どれほど田中選手の力になっただろうか。

 

人生というものは結局のところ、自分で切り拓くものである。肝心なことは、その時々に自分が全力を尽くし、納得できるように振る舞うことだ。(『オレたち花のバブル組』池井戸潤

 

半沢と同じように理不尽な仕打ち(選考)を受けた田中選手は、悔しさをパワーに変えて、今度こそ上司(陸連)が文句のつけようがない結果を残し、オリンピアンとなった。鍛え上げた自分の二本の足で、見事な倍返しを成し遂げたのである。田中選手のこれまでのストーリーを知っている誰もが、胸がいっぱいになった42.195キロだったと思う。