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人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【水野学、長光歌子】自主的にプラスアルファを加える

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クリエイティブ・ディレクターの水野学さん。言わずと知れた、くまモンの生みの親である。個人的に、くまモンの大ファンなのだ!毎年、くまモンとは年賀状のやり取りをしているし(必ずコメント付きの返事をくれる)、くまモンと握手をするために、寒空の下で60分並んだこともある(人の手の感触があった。中の人なんていないと思っていたのに…)。

今や”ゆるキャラ界の頂点”に君臨しているくまモンだが、もともとは望まれて作ったわけではなく、「おまけ」だったのをご存知だろうか。放送作家の小山薫堂さんから、『くまもとサプライズ』(=九州新幹線の全線開業を盛り上げる企画)のロゴを依頼された水野さんが、「ロゴだけでなく、キャラクターもあった方がPRしやすいのでは?」と考えて、おまけとして提案したのがくまモンだったのだ!

しかも、どうせ作るなら「長く愛されるように」と、微細な表情の変化を検証して、なんと3000パターンのくまモンを準備したのである(※上の写真参照)。膨大な時間とエネルギーを注いで、自主的にプラスアルファの提案をする。たいていの場合はクライアントに感謝され、喜んでもらえるそうだ。

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バンクーバー五輪フィギュアスケート男子シングル銅メダリスト、高橋大輔さん。”世界一のステップ”でファンを魅了し、2014年に惜しまれながら現役を引退した。そんな高橋さんを、中学2年のころからずっとそばで支えてきたのが長光歌子コーチである。

バンクーバー五輪では、ライバルの織田信成さんの靴ひもが、演技の途中で切れてしまうというアクシデントがあった。実は、高橋さんの靴ひももいつ切れてもおかしくない状態になっていたのだが、それを未然に防いだのが長光コーチなのだ。

フリーの前日、「靴墨を塗っておくから」と言って靴を預かった長光コーチは、”使用済み”の丈夫な靴ひもにこっそり交換。”新品”ではなかったため、違和感を感じることなく最後まで滑りきった高橋さんは、試合後に初めて事実を知って驚いたそうだ。自主的にプラスアルファの準備(=使用済みの靴ひものストック)をする。用意周到な長光コーチの存在なしには、高橋さんは五輪メダリストにはなれなかったかもしれない。

相手のためによかれと思ってやったことが、必ずしもよい結果になるとは限らない。時には断られたり、裏目に出ることだってあるだろう。でも、自分のために貴重な時間を使って、あれこれ考えを巡らせて、プラスアルファのことをしてくれたという「想い」は確実に伝わるものだと思う。そして、その「想い」は巡り巡って、やがて本人のもとに跳ね返ってくるのだ(水野さんはくまモン効果でキャラクター制作の依頼が殺到し、長光コーチはメダリストの育ての親として知名度がアップした)。

「知識の蓄えと予測の繰り返しで、センスは磨かれていく」

これは、水野さんの著書『センスは知識からはじまる』に出てきたフレーズである。二人のように何も頼まれていなくても、せっせと情報を集めて、周りをよく観察して、先を予測すること。人のセンスの良さは、”自主的に加えられたプラスアルファ”を見ればよくわかると思う。