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人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【松本薫、高見盛】気合いで相手を圧倒する

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「目で殺す」ということわざがある。本来は「色っぽい目つきで夢中にさせる」という意味なのだが、対戦相手を目つきで殺しかねないくらい、凄まじい気迫でロンドン五輪に登場したのが、”野獣”というニックネームで知られる柔道家・松本薫選手(ベネシード)である。

著書『夢をつなぐ』によると、このような闘争心むき出しのスタイルになったのは、小6のときに大会で優勝できず、母親から「ゴキブリみたい。虫みたいな柔道だったね」と言われたことがきっかけらしい。この言葉が妙に耳に残り、「虫みたいに見えたのは、負けたくない一心で逃げ回っていたから。これじゃいけないんだ」とそれ以来、積極的に攻める柔道を心がけているそうだ。

松本選手は5人きょうだい(4番目)で、一度も海外に行ったことがなかった母親に「私が五輪につれていく」と約束し、悩んだときも柔道を続ける活力にしてきた。「オリンピック初出場 → 雰囲気に飲まれて何もできず初戦敗退」ではなく、「鬼のような形相&気合いで相手を圧倒 → 見に来ていた家族の前で金メダル」というのはなんと男前でカッコいいことだろうか!

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現役時代、取組前の”気合い注入パフォーマンス”で観客を沸かせた高見盛精彦さん(現・振分親方)。物心がついたころから体が大きく、小4のときに担任の先生から「相撲をやったら給食は大盛りにしてやる」と言われた翌日に相撲部に入った。

そんな高見盛さんは、日本大学を卒業後、東関部屋に入門。順調に番付を上げていったが、新入幕を果たした矢先に右膝前十字じん帯断裂の大ケガを負ってしまう。懸命のリハビリを経て再び土俵に戻ったのだが、恐怖のあまり足が震えて立っているのがやっとの状態に。「何とかしなければ」という一心で顔面を叩き、両腕を振り下ろして自らを鼓舞したことから、”角界ロボコップ”が誕生したのだ。

松本選手も高見盛さんも、気合い入れの動作や表情がきっかけで、マスコミにニックネームをつけられ、多くの人から注目される存在となった。しかし、二人とも決してパフォーマンスや話題作りのためにやっているわけではなく(あざとさがない)、ただただ目の前の相手を倒したいだけ(本当に純粋)なのだと思う。だからこそ「凛々しい表情がカッコいい」「ぎこちない動きが微笑ましい」などと好感を持たれるのだろう。

高見盛さんは2013年に惜しまれながら現役を引退。自らが個性的な力士だったことから、今後は”普通からはみ出しているような個性を、大事に育ててあげられる指導者”になりたいそうだ。松本選手は来年のリオデジャネイロ五輪に出場できれば2連覇がかかる。「試合中の鋭い目つき → 笑顔の表彰式」、このギャップをもう一度見てみたい。