人生で大切なことはすべてアスリートから学んだ

優れた成績(結果)を残す選手には、必ず理由(原因)がある。アスリートがプレーで表現してくれたことを、わかりやすい文章に落とし込んで発信します。

【鳥海貴樹アナ、工藤三郎アナ】「これが浅田真央です」「よく頑張りましたね」

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オリンピックの名実況と言えば、「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」(アテネ五輪、男子体操団体)、「立て、立て、立てぇ、立ってくれ~!」(長野五輪スキージャンプ団体)、「前畑ガンバレ!」(ベルリン五輪200m平泳ぎ)などが有名だが、これらに勝るとも劣らないと思うのが、「これが浅田真央です」(ソチ五輪、女子フィギュアスケート)である。

”伝説の4分”と言われる浅田選手のフリーの実況を担当したNHK鳥海貴樹アナウンサーは、演技が終わった後に10秒ほど沈黙し、「これが浅田…真央です。浅田真央のスケーティングです。6種類の3回転ジャンプ8つ、すべて成功。これが出来るんです。なんという凄い…スケーターでしょう」と声を震わせた。沈黙は感動のあまり言葉がすぐに出てこなかったのかもしれないが、「これが浅田真央です」はすべての想いが凝縮された、見事な一言だったと思う。

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女子スキージャンプ高梨沙羅選手。昨年、17歳でソチ五輪に出場し、4位入賞を果たした。本来であれば、17歳でオリンピックに出ること自体がすごいことで、その上入賞したのだから「よくやった」と称えられてもいいはずなのだが、高梨選手の場合はメダル獲得、それも金メダルの期待が高かったために、「まさかの4位」「メダルならず」というような心無い報道になってしまう。

そんな中、試合後のインタビューを担当したNHK工藤三郎アナウンサーは流石だった。必死に涙をこらえる高梨選手に対して、穏やかな顔で、「どうですか、初めてのオリンピックを終わって。これからもみんなが沙羅さんのことを応援すると思います。よく頑張りましたね」と温かい言葉をかけたのだ。こうして書きおこした文章を見ても、工藤アナの優しさや気遣いが伝わってくる。「よく頑張りましたね」はありきたりな言葉だが、こういう場でさり気なく口に出せるアナウンサーはなかなかいない。

言葉遣いやインタビューの聞き方ひとつにも、その人の人柄がよく表れるものだ。鳥海アナと工藤アナは「言葉で盛り上げよう」「インタビューで泣かせよう」とは決して思わなかった。だから結果的に、「饒舌でなくても記憶に残る実況」や「選手に寄り添ったインタビュー」ができたのだと思う。

次回の冬季五輪は2018年、韓国の平昌で開催される。浅田選手が出場するならまた鳥海アナに実況を、高梨選手が出場するならまた工藤アナにインタビューを担当してもらいたい。そう思う人はきっとたくさんいるのではないだろうか。